コンサート レヴュー
世界で活動する吉川隆弘のコンサート評を紹介します。
Giornale di Brescia 24 Maggio 2007
Molti applausi per il concerto benefico
Schumann si fa poesia col Quartetto della Scala
<日本語訳>
ジョルナーレ・ディ・ブレーシァ、 2007年5月24日
チャリティーコンサートに盛大な拍手が送られた スカラ座弦楽四重奏団によってシューマンは詩になった
スカラ座弦楽四重奏団と吉川隆弘による特別コンサートが先日「Sostegno-70 糖尿病の子供達とともに」協会会長ピエラ・ガンディー二と音楽顧問クララ・マルティネンゴ教授によってテアトロ・グランデにて催された。女優フランカ・ヌーティによる短い挨拶の後、ミラノの歌劇場の首席奏者で構成され、既に国際的な名声も得ているスカラ座弦楽四重奏団によってドビュッシーの弦楽四重奏曲が演奏された。明快で激しい表現で作品の明晰な現代性を表出し、「親和力」の感動的な遊戯とも言い得るであろう、心理的に深く掘り下げられた解釈を示した。
それから若い日本人ピアニスト吉川隆弘が登場し、ピアノのレパートリーの中で最も難しい曲の一つ、モーリス・ラヴェルの「夜のガスパール」を演奏した。ベルトランの詩に基づくこの音楽は、詩そのものの持つ象徴を暗示や雰囲気に変容する。はかなく非現実的で「液状」でリスト風の「オンディーヌ」を、吉川は優美で柔らかく軽い音色で表現した。続く「絞首台」(一種のバラードであり、執拗に一つの音が濃縮されたリズムで反復される)に、非常に表現力豊かなピアニストは、郷愁や悔恨といった感情を見出した。 ラヴェルが「メフィストワルツ」の悪魔的な名技性に挑んだ「スカルボ」では、吉川はリズムと音色の分配に注意を払いながら彼の素晴らしいテクニックを誇示した。
コンサートは驚愕で幕を下ろした。吉川、フランチェスコ・マナーラ(第1 ヴァイオリン)、ピエランジェロ・ネグリ(第2 ヴァイオリン)、シモニデ・ブラコーニ(ヴィオラ)、マッシモ・ポリドーリ(チェロ)らは、シューマンのピアノ五重奏曲作品44 の精力的で成熟しているが新鮮な演奏によって聴衆を征服し、聴衆は非常に長い確信のある拍手を捧げた。
フルヴィア・コンテル
Bresciaoggi 23 Maggio 2007
Ottimo successo al Teatro Grande per la serata benefica
Ringrazia in musica il quartetto della Scala
In alcuni momenti è intervenuto anche il pianista Yoshikawa
<日本語訳>
ブレーシァオッジ、 2007年 5月23日
テアトロ・グランデでのチャリティーコンサート大成功。
スカラ座弦楽四重奏団が音楽で感謝の意を表した。
吉川隆弘も参加した
ミラノスカラ座弦楽四重奏団のコンサートは大好評を博した。このコンサートはこの何ヶ月かの間に集められた寄付への感謝を込めて「 Sostegno70糖尿病の子供達とともに」協会によって催された。ホールは若くて輝かしい 4人の弦楽器奏者達と彼らに加わった日本人ピアニスト吉川隆弘を聞くのを待ちきれないブレーシァ人でごった返した。チャリティーコンサートではあるが、主催者達に選ばれた演奏家によるだけでなく、「簡単」とは言えないが最高に洗練されたプログラムのために、音楽的にも非常に高いレヴェルのコンサートとなった。
はじめに弾かれたドビュッシーの「弦楽四重奏曲ト短調作品10 」では4人の弦楽奏者達は旋律と和声におけるドビュッシーの「新しさ」をくっきりと描き出した。それは作曲された当時は論争を巻き起こしたものであるが、我々の好みには非常にうっとりさせられるものとして定着している。第 1楽章の 5音音階の旋律、第1 ヴァイオリンフランチェスコ・マナーラとチェロのマッシモ・ポリドーリの緻密な対話や、スケルツォでの名人芸的な「ピッツィカート」、フィナーレにおける第 1 楽章の主要主題の尽きない変奏はその端的な例である。
正に真の傑作であるこのドビュッシー唯一の弦楽四重奏曲は執拗な反復が生み出す循環の効果を持つが、スカラ座弦楽四重奏団はエレガントなだけではなく、終楽章においては作曲家の要求した強靭な情熱を披露した。
次に、吉川隆弘がラヴェルの最も有名でまた最も複雑なページの一つ「夜のガスパール」を演奏した。「オンディーヌ」の魅惑的な誘惑の歌、その柔らかさ、ピアノによって惹き起こされた映像は、猛烈なクレッシェンドの後、突如として消え去る。苦痛を秘めたリズムで運命の非可避性を呼び覚ます「絞首台」。地の精「スカルボ」のほとんど狂暴ともいえる登場で吉川隆弘はラヴェルによって天才的な音楽上の不規則性に変容された醜悪さを見事に描き出した。
最後にシューマンの、彼の非凡な音楽素材に満ちた「ピアノ五重奏曲作品44」が演奏された。アレグロ・ブリッランテの冒頭の主題はなんと上機嫌なことだろう。この 5 重奏で、コンサートの主役たちは華やかでロマンティックで、また、この特筆に価する室内楽コンサートの演奏者達のように若々しい雰囲気の中で一つになった。
聴衆は音楽家達に長い拍手を送ったがアンコールはなかった。が、ポリドーリはこのコンサートを分かち合った聴衆に心から感謝した 。
l.f .
Giornale di Brescia 17 Aprile 2007
Il celebre esecutore giapponese al Grande il 21 maggio
Il piano di Takahiro Yoshikawa: preziosa anteprima a Nuvolera
“Una grande serata musicale”, “un viaggio emozionante”, “una tecnica sbalorditiva”: questi i commenti che circolavano tra i quanti hanno partecipato nel prezioso Salone della Musica di Palazzo Bianco Speroni a Nuvolera al concerto del grande pianista giapponese Takahiro Yoshikawa, Invitato dal Rotary Valle Sabbia. Il pubblico composto per lo più da giovani musicisti ed intenditori ha potuto apprezzare le notevoli doti tecniche del pianista nipponico: velocità, compostezza – tanto cara ad Arturo Benedetti Michelangeli la cui allieva, Anita Porrini, è stata docente di perfezionamento di Yoshikawa -, precisione e interpretazione emotiva del musicista del Sol Levante, ormai affermata stella del Teatro alla Scala. Un repertorio vasto che consente un surplus di sentimento, come nell’esecuzione della Sonata op. 27 n. 2 di Beethoven, o l'interpretazione di Gaspard de la Nuit, nei suoi Ondine, le Gibet e Scarbo, poesie trasformate in musica da Mourice Ravel e musica ritrasformata in poesia da Takahiro Yoshikawa. E poi Liszt con la delicatezza de Les jeux d'eaux à la Villa d'Este e la sonorità della verdiana Parafrasi dell’opera Rigoletto. Travolgenti gli applausi così come il bis con i difficili studi di Chopin. E da Nuvolera è già partita la corsa per accaparrarsi i biglietti disponibili per il concerto che il prossimo 21 maggio Takahiro Yoshikawa con il Quartetto d'archi della Scala composto da Manara, Negri, Braconi e Polidori terrà al Teatro Grande, in prima assoluta per la nostra città. Come ha scritto il Maestro Riccardo Muti: un concerto che “per la bellezza del suono e la preziosa cantabilità, è da ascoltare con particolare gioia ed emozione”.
Massimo Cortesi
<日本語訳>
ジョルナーレ・ディ・ブレーシァ、2007年4月17日
素晴らしい音楽の夕べ、感動的な旅、驚異的なテクニック…これらはヌヴォレーラのビアンコ・スペローニ邸で催された偉大な日本人ピアニスト吉川隆弘のコンサートの聴衆のコメントである。若い音楽家と音楽通からなる聴衆は、この日本のピアニストの特筆すべき天分(スピード感と冷静さ―彼はミケランジェリの愛弟子アニタ・ポッリーニに師事した―、正確さと感情に基づく演奏解釈)を堪能した。日出ずる国の音楽家はすでにスカラ座においても評価されている。月光ソナタから始められたプログラムで、溢れ出る多様な感情の表現を可能にする幅広いレパートリーを示し、ラヴェルの夜のガスパールでは、ラヴェルによって音楽化された詩が、吉川によって再び詩として奏でられ、それらに非常に繊細なエステ荘の噴水とリゴレットパラフレーズが続いた。押さえることのできない拍手にこたえてアンコールにショパンのいくつかのエチュードが弾かれた。この夜の聴衆は5月21日のスカラ座弦楽四重奏団とのコンサートの予約に殺到した。このコンサートはリッカルド・ムーティが言ったように「音色の美しさと貴重な声楽性のために喜びと感動を与える」ものになるだろう。
Massimo Cortesi
吉川隆弘サロンコンサート in 芦屋(日録:2007/03/05)
ミラノ、スカラ座のピアニスト、吉川隆弘の演奏会です。先日予告した通り、行ってきました。近鉄とJRを乗り継いで約1時間。昨秋に続いて2度目の凱旋コンサート。今回のプログラムはベートーヴェンの初期ソナタ(第3番)と中期代表作「熱情」(第23番)、リストの「エステ荘の噴水」それにラヴェル「夜のガスパール」。プログラムを見ただけで大物ぶりが分かります。前半ベートーヴェンで後半リスト、ラヴェルでしょ。一定の傾向に偏らないオールラウンドプレイヤーを目指している(すでにそうなっている)証です。一曲目のソナタでまず驚きました。こんなに軽やかに跳ねるベートーヴェンは(初期作品とはいえ)初めて聞きました。まさに完璧に歌っています。ピアノがとか指先がとかいうよりも身体全体が歌っている感じ、といえば伝わるでしょうか。あまり音響のよくない(と思われる)サロンなのに、くっきりとした輪郭がよく響くこと。ピアニシモのささやきとフォルテシモの咆哮のダイナミックレンジも大変なものです。次の「熱情」。まさにパッションそのもの。多少の細かいミス(ちょっと濁る程度)はありましたが、かまうものか、という感じですね。表情一つ変えずに走る走る。ノリノリです。しかも難しいパッセージほど安心して聞いていられるテクニック。若さ爆発といったところでしょうか。すさまじいコーダに興奮しました。休憩をはさんで後半。リストからラヴェルの第1曲(オンディーヌ)へは「水」関連ですね。みごとな繋ぎです。リストの噴水は水しぶきが飛び跳ねそうなきらめき。こんなに軽やかなグリッサンド聴いたことない。光る光る。音符が自在に飛び跳ねています。次のラヴェルもですが、よほど指のバネが強くないとこういう演奏はできない、と、以前青柳いづみこさんがレクチャーコンサートで話していたことを思い出しました。このピアニストには絶対に小さくまとまってほしくない(ないだろうけど)。このまま。このまま成長してほしいものです。瞑想的な深みとか精神的な高みとかは自然に身につきます(当然いろんな勉強をするでしょうから)。それよりどんどん広げて欲しい、レパートリー、ですね。たとえば、アンコールのショパン。とても良かったけど、いっそ「英雄ポロネーズ」で締めるとか。ラヴェルとドビュッシーを(正反対だけど)前半と後半に入れるとか。いろいろ楽しみが募ります。若い、っていいなあ。ほんとに。つくづくそう思います。この先何十年もこの演奏を(変化を楽しみにしつつ)聴けるんだし。CDデビューはいつなんだろう。ふと思いついたのですが。「ベートーヴェン、青春の息吹」というようなコンセプトで初期の3つのソナタなんか楽しいんじゃないでしょうか。あと、少しずつ録音して40歳ぐらいまでに全曲録音するとか。いろいろ夢はふくらみます。楽しいマチネでした。次は秋にあるそうです。今度も行きます。吉川さん、がんばってね。
2007年3月4日山村サロンで。
吉川氏はピアニスト山畑誠氏と東京芸大の同級生の33才。背の高いハンサムなイケ面ピアニストです。プログラムは前半がベートーベンの第3番と第23番のソナタ。後半がリストの「エステ荘の噴水」とラヴェルの「夜のガスパール」。1曲目のベートーベンのハ長調のソナタの出だしからこのピアニストの非凡な才能が伺えます。ベートーベンのふつふつと燃え上がる情熱を聴衆に伝える事と破綻のないテクニック。両面を併せ持つピアニストは世界を見渡しても数えるほどしかいません。特筆物は「夜のガスパール」。絶好調のミシェル・ベロフと肩を並べる名演だったといっても過言ではありません。このラヴェルの名曲を世間に広めるためにも必ずリサイタルに取り上げ続けてもらいたいものです。
mostlyclassic 2006年9月
IL CITTADINO (Monza) 1 Maggio 2003
Yoshikawa, pianista eccellente
Un r écital straordinariamente bello, quello di domenica 27 aprile in sala Maddalena, dove per la rassegna <I concerti a Monza>, organizzati sotto l'egida dell' assessorato alla Cultura del Comune, il giovane pianista giapponese Takahiro Yoshikawa ha concluso la prima tranche della stagione. Un corredo di studi assai nutrito gli fa conquistare una padronanza tecnica eccezionale, che gli permette di affrontare qualsiasi repertorio, come si evince dal programma eseguito. Cos ì, la Sonata in mi bemolle maggiore Hob.52 di Franz Joseph Haydn, ci rivelava l'acuta sensibilit à del giovane Takahiro, mentre le Variazioni su un tema di Paganini opera 35, di Johannes Brahms, ci hanno fatto scoprire le sue straordinarie capacit à tecniche ed interpretative.
Dopo l'esecuzione di un brano contemporaneo : "Through a glass" di M. Di
Gesu, l'interpretazione di Gaspard de de la nuit di Maurice Ravel, nei suoi
Ondine, le Gibet e Scarbo, ci dava completa la misura delle eccezionali
qualit à musicali e pianistiche del giovane artista giapponese, del suo
talento e della sua non comune natura musicale.
Strepitoso successo ed applausi a non finire per Takahiro Yoshikawa.
A.B.
<日本語訳>
イル・チッタディーノ(モンツァ)2003年5月1日
吉川、並外れたピアニスト
4月27日、サーラ・マッダレーナにおけるモンツァ市後援によるコンサートシリーズ<I concerti a Monza>の第1部が日本人ピアニスト、吉川隆弘のリサイタルで締めくくられた。
非常に充実した勉強の蓄積は彼に並外れたテクニックを征服させ、あらゆるレパー
トリーに取り組むことを可能にしたことは、プログラムからも察せられる。ハイドン
のソナタHob.52で非常に繊細な感受性を示し、ブラームスのパガニーニ変奏曲op.35
では、技術と解釈の両面における非常に優れた能力を明らかにした。
マッシモ・ディ・ジェズによる「Through a glass」に続けて弾かれたラヴェルの
「夜のガスパール」では、この若き日本の芸術家の並々ならぬ音楽性とテクニック、
秀でた才能が、存分に発揮された。
吉川隆弘への惜しみない拍手は尽きず、大成功であった。
A.B.