初沖縄!

3月9日に初めて沖縄で演奏します。
これまで沖縄には行ったことがなく、去年12月に初めて打ち合わせで行きましたが、26°Cもあり、クーラーがついていてびっくりしました〜!非常に月並みな感想で申し訳ありません!
今回演奏させていただくライカム・アンソロポロジーは、日本最古のショッピングセンターと言われるプラザハウスの3階にあるギャラリーです。
RYCOM ANTHROPOLOGY
ライカム・アンソロポロジーというのは、どういう意味かなと思ったら、サイトに書いてありました。

RYCOM <ライカム>
かつての琉球米軍司令部(Ryumyu Command Head quarter’s9の通称。
復帰後は旧泡瀬ゴルフ場からプラザハウス一帯ライカム交差点等エリアの名称として浸透。コザとともに琉米文化(1945-1972沖縄がアメリカ統治下だった時代)を生んだ場所。

ANTHROPOLOGY文化人類学。生活様式、言語、習慣、ものの考え方など、人間生活のほぼ全ての現象について文化という観点から比較研究し人類共有の法則性を見出そうとするもの。

興味深いですね!演奏をするとともに、日本なのにアメリカでもあった沖縄について、しっかりと勉強して参ります!

2019年3月9日土曜日 沖縄県沖縄市
18:30開場19:00開演
ピアノリサイタル at ライカムアンソロポロジー
(プラザハウスショッピングセンターフェアモール3F)
前売り4000円当日4500円
チケットの販売・ご予約はライカムアンソロポロジーにて承っております。
Email: rycom-a@plazahouse.co.jp
https://www.facebook.com/RycomAnthropology
〒904-0023 沖縄市久保田3-1-12 3F
TEL: 090-933-1142 (11:00-19:00)
主催 株式会社プラザハウス
後援 沖縄市、沖縄タイムス社、(公社)ゼーブ・ザ・チルドレン・ジャパン、医療法人デンタル・クエスト
特別協力 イプシロン・インターナショナル株式会社

演奏曲目
ベートーヴェン作曲 ピアノソナタ第14番嬰ハ短調 Op.27-2 「月光」
リスト作曲 エステ荘の噴水、リゴレット・パラフレーズ
ドビュッシー作曲 ベルガマスク組曲 前奏曲 / メヌエット / 月の光 / パスピエ
ショパン作曲 ノクターン第8番変ニ長調 Op.27-2、バラード第1番ト短調 Op.23

モンポウ「風景」

フェデリーコ・モンポウの生涯についてはあまり知られていないかと思います。Wikipedia日本語版には、モンポウの父親は鐘作り職人だったとありますが、弁護士だったとも読んだことがあり、よく分かりません。「風景」にも鐘にまつわる曲があり、お父さんが鐘職人だったらとってもロマンティックでいいなーとは思います。
同じくWikipedia日本語版には、「フランコ体制の支持者であったためにサン・ホルヘ王立音楽院の教員に就くことができた。」とありますが、スペイン語版には「Fue miembro de la Real Academia Catalana de Bellas Artes de San Jorge y Premio Nacional de Música de España.」とあり、英語版には「An initial supporter of Franco’s regime, in Barcelona he became a member of the Royal Academy of San Jorge, 」とあります。王立音楽院ではなく、アカデミー会員、ということのようですね。初期のフランコ政権の支持者であった、というのは、初期以降は支持者ではなかったのか。コルトーの例もありますし、音楽もまた政治といろいろな形で関わっています。

Wikipediaに疑問を持ちつつ、以下引用します。

1941年にナチス軍によるパリ占領を避けてバルセロナに帰郷。同年、国際コンクールの会場でピアニストのカルメン・ブラーボと知り合う。長年にわたって友情を培った末の1957年に二人は結婚した[1]。この頃から創作活動の第2期に入った。

3曲から成る「風景」はカルメン・ブラーボに捧げられました。1曲目が1941年、ちょうど彼女と知り合った時期に書かれ、2曲目は1947年、3曲目は結婚した1957年に書かれています。
カルメン・ブラーボの演奏で1曲目の「泉と鐘」を聴いてみましょう。

この曲は、モンポウがパリからバルセロナに戻って住んだゴシック地区にあるささやかな噴水と、この地区にあるサンタ・エウラリア大聖堂の鐘の音からインスピレーションを得て書かれたとも言われていますが、定かではありません。水の湧き出る自然の泉ではないようですね。水や鐘の描写ではなく、心象風景とでもいった感じ。

2曲目の「湖」は、ムンジュイックの辺りの湖と関連があるとどこかで読んだ気がしますが、バルセロナの市内なので、池や、公園にある水の張ってある物のようなことになるのでしょうか。大きな湖ではないということでしょうか。モンポウはムンジュイックにある墓地に葬られました。

3曲目は「ガリシアの荷車」。ガリシアというのはポルトガルの北にある州で、内陸部は貧しく、牛の引く荷車はこの地方の象徴のひとつということです。モンポウは、ガリシア州の州都、サンティアゴ・デ・コンポステーラに何度も滞在し、この州をよく知っていました。
この地方はケルト人が住んでいて、ガリシアの語源にはガッリアがあり、ガッリというのは鶏のことです。ポルトガルも鶏の港ということですね。なんで鶏なのか、ローマ人に聞いてみたいですね。

ガッリアというと、先日ぼーっと「SATOR AREPO TENET OPERA ROTAS」の図を眺めていまして、この下のものですが、

このAREPOの意味がラテン語としてははっきりしないそうで、可能性のひとつとして、ガッリア地方にかつてAREPOと呼ばれた荷車があったという話があったような。そこで、ガッリア、荷車、ガリシア、モンポウ、と連想してみました。

話が思いっ切り飛んでしまいました。以上です。

以下の公演でこの「風景」を演奏します。

11月28日(水) 19:00開演
ピアノリサイタル 東京 銀座王子ホール

12月02日(日) 14:00開演
ピアノリサイタル 大阪 梅田 あいおいニッセイ同和損保 ザ・フェニックスホール

詳細はCONCERTページをご覧ください。

ハイドン ソナタ へ長調 Hob. XVI: 23 (2)

前回の第1楽章の続きです。

第1楽章について初めの数小節を見ただけで細々(コマゴマ)と書き始めてしまい、曲頭の4小節までで前回は終わりましたが、顕微鏡のように細部を拡大して見るのは先に全体を大きく捉えてからにしないといけません。間違えました。
では、第1楽章全体を大きく捉えるには、どうすればいいでしょうか。とりあえず、この曲は「ソナタ」というタイトルですので、第1楽章ではソナタ形式が使われているのではないかと、疑ってみるとどうでしょうか。はい、ソナタ形式ですね。第一主題は曲の冒頭のもの、第二主題は21小節、そのアウフタクトからでいいのかもしれません。

展開部では、第1主題と第2主題の間の所謂推移部のフレーズが扱われ、第2主題は出てきません。
(自筆譜は見にくいので初版を切り取って見ましたが、アウフタクトで段が変わっているのでこれも見やすくはないですね。しかも、上の譜例もですが、大きさの調整がうまくいかず、2つの繋がっているもののサイズが違うのでとても無様です。申し訳ありません。)

29小節で直前のハ長調のV7からハ短調のVI=変イ長調の主和音になるのが印象的です。

(つづく)

以下の公演でこのソナタを演奏します。

11月17日(土) 15:00開演
ピアノリサイタル 稲城市立 i プラザ ホール

11月28日(水) 19:00開演
ピアノリサイタル 東京 銀座王子ホール

12月02日(日) 14:00開演
ピアノリサイタル 大阪 梅田 あいおいニッセイ同和損保 ザ・フェニックスホール

詳細はCONCERTページをご覧ください。

ハイドン ソナタ へ長調 Hob. XVI: 23 (1)

11月から12月にかけて日本で弾く予定の曲について、知っていることや思うことをつらつらと書いてみます。

まずはハイドンのソナタ。

曲の成立した事情などになると伝記的な史実や時代背景などにも触れざるを得なくなりますが、煩雑になるので、Wikipediaのリンクを貼っておきますね ハイドンについて。また興味のある方はハイドンとゆかりの深いエステルハージ家についてもご覧ください。Wikipediaはじめネットに転がっている情報は、知っていることについて書いてあるのをみるとなんだか怪しいことも多く、でも、知らないことについてはうっかり見てしまうので、注意が必要です。興味のある方は、書籍などで詳しく調べましょう。

このソナタは1773年(少なくとも74年まで)に書かれました。すでにヨーロッパ中に名を知られていたハイドンの作品はしばしば作曲者の知らないところで勝手に出版されていたそうで、このソナタを含む「チェンバロのための6つのソナタ集」は、ハイドン自身によって出版社とやり取りを交わして出版されたということです。やり取りというのが、契約なのか、または校正なのか、はっきりしません。自筆譜にあるスタッカートの記号などが初版には欠けているのを見ると、ゲラの校正をしたのではないと思います。これら6つのソナタはニコラウス・エステルハージに捧げられました。このニコラウスさんはハプスブルク家からエステルハージ家に伯爵号を与えられた時の人で、1645年に亡くなっていますので、そのニコラウスさんに捧げてエステルハージ家への感謝を表したということなのでしょうか。あるいは違うニコラウスさんがいたのでしょうか。よく分かりません。「知っていることや思うことをつらつらと」と冒頭で書きましたが、いきなり知らないことをたどたどしく書き始めました(苦笑)。そしてこのニコラウスさんに関することなど、どうでもいいことかもしれません。ただ、書くということは知らないことをこそ書くのだ、知っていることを書いても意味がない、というような文章を見たこともあり、それはもっと内容のある文章に関する言葉ではあったにしても、気にせずこのままのスタンスで続けます。

では曲を見ていきましょう。
第1楽章、自筆譜にはテンポの指示がありません。特別なテンポで弾かれるべきだと考えていたとしたら何か書いたと思うので、この楽章はいつも通りのハイドンのソナタの第1楽章のAllegro(初版)でいいと思いますが、32分音符がたくさん出てくるので速過ぎてもいけないと思ったか、ランドン校訂のウィーン原典版はModeratoです。
自筆譜を見てみると、右手はハ音記号ですね。へ長調、4分の2拍子です。
(自筆譜はImslpにあります。初版その他いろいろあります。)

スタッカートについて
弱起の後の第1小節の1拍目の右手のファの音にスタッカートの記号が付いています。縦長でとんがっている記号、人参のような、これはスタッカティッシモと言うのでしょうか?ここで書かれているこの記号に、単なるスタッカートではなくスタッカティッシモという意味があるのかは定かではありません。ともかく、スタッカートとは、切れていることで、アーティキュレイションの記号の一つです。前後の音と分離されていると言えばいいのでしょうか。辞書などにも誤解があるようですが、音の長さが短くなるのではありません。短く聞こえるかもしれませんが、少なくとも、短く演奏するのではないのです。例えば、「おっと」と言った時、「お」と「と」の切れ具合によっていろんなニュアンスが出せると、これはあまり的確な例ではないですが、そのような重なった子音の感じであったり、そういった表現を付けましょうという記号です。「ファー」と伸びるのではなく、「ファッ」と小さな「ッ」の入るイメージで、その小さな「ッ」も含めて8部音符というのが正解だと思います。あるいは「ポン」と音がする「ン」など。そして、管楽器のタンニングや弦楽器の弓のアタックのように、音の始まり方も、当然アーティキュレイトされないといけません。始まりは前の音と繋がっていてただその音の終わり方だけにスタッカートのニュアンスを付けるのは、上の譜例の2小節目の1拍目裏拍から2拍目頭にかけてのように、前の音とスラーの掛かっている場合のみです。
8分音符にスタッカートが付いているから16分音符で弾く、というのは単純な間違いです。そのような発想自体が根本的に間違っているので、例えばWikipediaにある「一般に音価の半分の長さ鳴らすと説明されるが、実際には場合によってこれより長くなることも、短くなることもありうる。」という文章は、日本語として間違えているだけでなく、意味がありません。他のサイトなどで、4分音符にスタッカートがあるものを「記法」の譜例に、そして8分音符と8分休符を「奏法」として載せているのを目にしましたが、そうだとしたら、なぜ作曲家がその奏法の方を書かなかったのか。もう少しよく考えましょう。ただ、特に小さいお子さんに説明するのに「考えましょう」というのも難しいのかもしれませんが。
音の長さというのはとっても難しい問題です。拍を数えるとき、1-2-3-4と言ってみると、この数字は拍の頭を数えているので、次の数字を言い始める直前までがその拍の長さになります。その長さ一杯一杯に伸びているというのはレガートの時です。例えば、テヌートという記号、ある音の長さを充分に保って演奏する、という意味になりますが、この記号のある音は、レガートでなければ、むしろ次の音とは切りますね。充分に保つ、でも切れるということは、短くなります。そもそも全ての音は切れているものなのかもしれません。人の声も、子音は母音の流れを分断しますから繋がっているとは言えないわけです。音の長さについても常に解釈しないといけないのですね。

アッポッジャトゥーラについて
上の譜例の2小節目の2拍目裏拍にアッポッジャトゥーラ=倚音(長前打音)が出てきます。これは当然拍の頭で弾くのですが、なぜ普通の音符で書かれていないかというと拍頭にある非和声音だからで、アッポッジャトゥーラらしいニュアンスを付ける必要があります。アッポッジャトゥーラというのは、もたせかける、支える、などと辞書にありますが、イタリア語のニュアンスとしては(楽語がイタリア語で良かった〜)重みをかけるというのか、まあ、まさに、もたせかけるという事になります。ズバリの日本語がなく、やはり辞書はきちんと言葉を選んであるなあとも思います。この小さい音符で書いてある音に軽く重みをかける感じですね。そうすると他の音よりも少し強調されるわけです。ちょっとしたニュアンスなのですが、大切ですね。

(続く)

以下の公演でこのソナタを演奏します。

11月17日(土) 15:00開演
ピアノリサイタル 稲城市立 i プラザ ホール

11月28日(水) 19:00開演
ピアノリサイタル 東京 銀座王子ホール

12月02日(日) 14:00開演
ピアノリサイタル 大阪 梅田 あいおいニッセイ同和損保 ザ・フェニックスホール

詳細はCONCERTページをご覧ください。