『エレジー』フォレ

「女は何よりまず、男が「女は何をのぞんでいるか」という問いを問うてくれるのをのぞんでいる」水村美苗(『水村美苗氏の洞察』より)

という言葉を引用したからと言って女性について語ろうというのではありません。この言葉を読んで、音楽もまた「作曲家が何を望んでいたか」という問いを問い続けないといけないのではないか、とふと思い、大変だな〜とも思いました。女性の話ではありません。

いや、やっぱり女性の演奏で

ブラームスの歌曲

少し前回ふざけすぎたので今回は真面目に。
来月大垣でブラームスの2番のピアノコンチェルトを弾きますが、自分が弾く曲の演奏は良くも悪くも影響を受けすぎるのであまり聴きません。特にブラームスのコンチェルトのように既にたくさんの演奏を聴いて来て、誰がどのように弾いたかも好きな演奏については良く覚えていたりする曲については聴きません。が、その作曲家の他の作品は聴いてみます。
ブラームスらしさがストレートに聴けるのはもちろん歌曲でしょう。
誰の演奏がいいとかどの曲がいいとかこだわらずにたくさん聴きます。
歌曲の楽譜はほとんど家にありませんがペトルッチにたくさんあります。
Youtubeでは下のようなものもあり面白いですね。眼鏡をかけてたりかけてなかったりします。

悲愴

私の好きな曲、というのもまたあまり単純な話題ではなかった。
いや、それがとても難しいのはもちろん知っていた。

《私の好きなもの、好きではないもの》、そんなことは誰にとっても何の重要性もない。とはいうものの、そのことすべてが言おうとしている趣意はこうなのだ、つまり、《私の身体はあなたの身体と同一ではない》。というわけで、好き嫌いを集め たこの無政府状態の泡立ち、このきまぐれな線影模様のようなものの中に、徐々に描き出されてくるのは、共犯あるいはいらだちを呼びおこす一個の身体的な謎 の形象である。ここに、身体による威嚇が始まる。すなわち他人に対して、《自由主義的に》寛容に私を我慢することを要求し、自分の参加していないさまざま な享楽ないし拒絶を前にして沈黙し、にこやかな態度をたもつことを強要する、そういう威嚇作用が始まるのだ。

(一匹の蝿が私に腹を立てさせる、私はそれを殺す。人は、腹を立てさせる相手を殺す。もし私がその蝿を殺さなかったとしたら、それは《ひとえに自由主義のため》であっただろう。私は、殺人者にならずにすますために、自由主義者である。)『彼自身によるロラン・バルト』「私は好きだ、好きではない」の項より

やはりブログを書くからには量や頻度も必要なのかとも思い、素知らぬ振りをして「これはいい曲ですね〜」などなど書き連ねていこうかと思ったものの、動画を貼付けたりしているうちに曲ではなく演奏が気になってしまい、でも、一番好きな曲はこのようなところには書かないように、一番好きな演奏もこのような場には貼付けたりは出来ないので、行き詰まり、I Loves You, Porgyに辿り着いたわけだが、ここでひるまず、さらに先に行ってみる。

近々日本に行ってベートーヴェンの悲愴ソナタを弾くので、悲愴ソナタの動画を下に。演奏はぴったり4分のところから。

下に丁寧に対訳をここから転載

“When I look back on my life,
人生を振り返ってみると、
it’s not that I don’t want to see things exactly as they happened,
想い出はみんな、絶対に直視したいような出来事ではなくて、
it’s just that I prefer to remember them in an artistic way.
美しいものばかりに想いをはせてしまうわ。

And truthfully, the lie of it all is much more honest because I invented it.
素直に言えば、美しい思い出の全ては正当なものよ・・・だって私が創り上げたのだから。

Clinical psychology tells us arguably that trauma is the ultimate killer.
臨床心理学では、トラウマは一番破壊力のあるもので間違いないとされてるわ。
Memories are not recycled like atoms and particles in quantum psychics,
they can be lost forever.
想い出は力量学の原子力や素粒子のように使いまわせるものではなくて、
全て失われてしまうの。

It’s sort of like my past is an unfinished painting
私の過去はある意味、絵を描いても描いても終らない絵と画家のようなものよ
and as the artist of that painting I must fill in all the ugly holes and make it beautiful again.  
それも絵を醜い穴で全てを埋め尽くして、また美しく仕立て直さなきゃならないような。

It’s not that I’ve been dishonest, it’s just that I loathe reality.
私が誠意のないいい加減な人間だということじゃないの・・・・・それだけ私の現実はひどく辛いものだった。

For example, those nurses, they’re wearing next season Calvin Klein, and so am I.
例えば、ここの看護婦たちが、 Calvin Kleinの新作を着れば、私も着るような。
And the shoes, custom Giuseppe Zanotti.
靴だって、Giuseppe Zanottiを履くの

I tipped their gauze caps to the side like Parisian berets because I think it’s romantic,
看護婦のガーゼ帽子を横に傾けて、まるでパリっ子のベレー帽みたいにね、だってそのほうが素敵だと思ったし、
and I also believe that mint will be very big in fashion next Spring.
来年の春にはファッション業界で、そんな着方がすっごい流行ると信じてたのよ。
Check out this nurse on the right, she’s got a great ass. Bam.
この右側の看護婦の見てよ、彼女いい尻してるでしょ、ああムカツク

The truth is, back then at the clinic, they only wore those funny hats to keep the blood out of their hair.
病院での真実は、患者はただ変な帽子をかぶってた、髪の毛が血で汚れないように。
And that girl on the left, she ordered gummy bears and a knife a couple of hours ago.
そして左の子はね、ゴム製の熊のぬいぐるみやナイフを2〜3時間前に注文してた
They only gave her the gummy bears. I’d wished they’d not given me the gummy bears”
でも看護婦は熊だけ与えたの。私も願ったわ。熊だけは私に与えないようにって・・・

[Nurse]
Good morning. Morphine Princess. How are you feeling?
おはよう。薬物中毒のお姫様。ご機嫌いかがかしら?

[Lady Gaga - Morphine Princess.]
(shrugs shoulders)
ガガ、肩をすくめる

[Nurse]
Everything went really well.
全て上手く行ったわ

[Nurse]
Look at you. I remember when I delivered you. You look just like your mother.
冷静になって。あなたをこの間自宅へ返したばかりなのに・・・あなたまるであなたの母親みたいになってる

[Gaga]
Except my mother is a saint!
私のお母さんは聖人ですけどね!

[Nurse]
Tachycardia heart rate is 120.
脈拍120

[Gaga]
I’m gonna make it.
私、やってみせるわ
[Nurse]
No intimacy for two weeks.
2週間は性行為は禁止です

[Nurse]
Blood pressure 90/40 a little low, but then again you’ve always been on the low side.
血圧は90-40で少し低いわね、でもあなたは常に低い方だったわね

[Gaga]
I’m gonna be a star. You know why?
あたしスターになってみせる。 どうしてかわかる?

[Nurse]
Why?
なぜ?

[Gaga]
Because – I have nothing left to lose.
だって・・・・私、失うものが何もないの

[Nurse]
Do you need anything else.
何か欲しいものはある?
[Gaga]
Une petite peau de la musique.
音楽の小さな膜が・・・

(引用者)ここは
“Just une petite peu de la musique.”
と言っていて、「少しだけ音楽を」ということで、ここで『悲愴』

(laughing and piano plays)
[Friend in Background]
Could be someone important.
きっと誰かが大切になるわ

[Gaga]
Hello! My manager
もしもし!マネージャーからだわ
[Friend in Background]
Perfect! Perfect – I told you.
いいわ、完璧よ!いったでしょ

[Gaga]
But I’m an artist. What’s – what’s this mean?
でもだって私アーティストだもの・・・・・なに・・・それなんて意味?

[Gaga]
I’m such a star! I am so dirty.
わたしってばすごいスターだわ!こんなに汚れてる

[Gaga]
You may say, I lost everything.
私には何もないって、みんなは言うかもしれない。
But I still had my be-dazzler, and I had a lot of patches,
でもまだ私は輝けるものを持ってるし、たくさんの布もあるし・・・
shiny ones from M&J Trimming.
それもM&J社のキラキラしたやつを。
So I wreaked havoc on some old denim,
だから古いデニムにさんざん傷をつけて痛めさせて、
and I did what any girl would do… I did it all over again.
どの女の子もするであろうことを・・・・全てをやってのけたの

I’m gonna marry the night
夜と共になるの・・・・
I won’t give up on my life
まだ人生を諦めたわけじゃない
I’m a warrior queen
私は戦場の女王
Live passionately tonight
今夜を激しく生き抜く

I’m gonna marry the dark
闇と共に結ばれる・・・
Gonna make love to this dark
この暗闇に愛を注いで
I’m a soldier to my own emptiness
空虚な自分自身に立ち向かう戦士なの
I’m a winner
私は勝利者

I’m gonna marry the night
夜と共に
Gonna marry the night
一体となって
Gonna marry the night
結ばれる

I’m gonna marry the night
夜と共に一体となって
I’m not gonna cry anymore
もうこれ以上涙は飲まないつもり
I’m gonna marry the night
暗闇と共に生きるの
Leave nothing on these street to explore
いままで生きた道にこれ以上の可能性なんてないから

M-m-m-marry, m-m-m-marry
M-m-m-marry the night
Oh, m-m-marry, m-m-m-marry
M-m-m-marry the night
夜と共に結ばれていく

I’m gonna lace up my boots
ブーツの紐を編み上げて
Throw on some leather and cruise
レザーも男漁りも放り投げて
Down the street that I love
愛する道へ行く
In my fishnet gloves, I’m a sinner
網目の手袋の中では、私は罪人

Then I’ll go down to the bar
だからバーへ繰り出すわ
But I won’t cry anymore
でももうこれ以上涙は呑まない
I’ll hold my whiskey up high
ウイスキーを高く掲げて
Kiss the bartender twice, I’m a loser
バーテンダーにキスをする、わたしは敗者

I’m gonna marry the night
どこまでも夜と
I’m gonna marry the night
決して離れずに

I’m gonna marry the night
この夜とどこまでも一緒に
I’m not gonna cry anymore
もう二度と涙は呑まない
I’m gonna marry the night
暗闇とずっと添い遂げるように
Leave nothing on this street to explore
いままで生きた道にこれ以上の可能性なんてないから

M-m-m-marry, m-m-m-marry
M-m-m-marry the night
Oh, m-m-marry, m-m-m-marry
M-m-m-marry the night

Nothing’s too cool to take me from you
あなたから私を奪ったって、素敵なことなんて何もない
New York is not just a town that you’ll never loose
ニューヨークは決して失われない街ではないから
Love is the new
愛は新鮮で
denim or black
デニムか黒の
Skeleton guns are wedding bells in the attic
スケルトンの銃が屋根裏部屋でのウェディングベルの代り

Get ginger ready, climb in Camino front
ショウガを用意して、王道を行くわ
Won’t poke holes in the seats with my heels
私のヒールで座席に穴を開けないで
‘Cause that’s where we make love
だって私たちが愛し合った場所でしょ

Come on and run
ほら、いくわよ
Turn the car on and run
エンジンを入れて、走るわ

I’m gonna marry the night
夜と結ばれるの
We’re gonna burn a hole in the road
私たち、道にタイヤの焼け跡を残して
I’m gonna marry the night
夜と共にいくの
Leave nothing on these streets to explode
過去にはもう何もないから

M-m-m-marry, m-m-m-marry
M-m-m-marry the night
Oh, m-m-marry, m-m-m-marry
M-m-m-marry the night

Oh, m-m-marry, m-m-m-marry
M-m-m-marry the night

I’m gonna marry, marry
I’m gonna marry, marry
Come on, come on

I Loves You, Porgy

「私の好きな曲」というカテゴリーではとても便利なのでYoutubeのリンクを貼付けてみているが、演奏が気に入らないなどと書き始め、どうもよくない。曲が好きだけれどいい演奏がない、ということは、その曲についてのイメージが硬直しているからでもある。どのような演奏でも、ある程度の演奏であれば、曲そのものを味わえるようになりたい。では「曲そのもの」とは何かーーー。

今回はこの演奏でないと好きではない曲を取り上げる。この演奏でないといけないのであれば好きな曲ではなくて好きな演奏ということになるか。

この演奏も悪くない。

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2014年秋の日本公演

ピアノリサイタル「悲壮美そして情熱の調べ」
11/27(木)19:00開演 大阪 ザ・フェニックスホール
12/5(金)19:00開演 東京 サントリーホールブルーローズ
詳細はコンサートページをご覧下さい。

12/7(日)15:00開演 大垣市 大垣市スイトピアセンター音楽堂

宮松重紀指揮大垣市室内管弦楽団とブラームスのビアノ協奏曲第2番を演奏します。全自由席1000円です!
お問い合わせ:kammer-or-ogaki@gol.com