Stendhal…

「イタリアの幸福は瞬間の感動にしたがうことだ」スタンダール(『恋愛論』第2巻第43章)

ああ、スタンダールこそは僕が最も恐れる作家である。

彼は全くの趣味人で、イタリアを愛し、女性を愛し、芸術を愛する文化人、仕事はというとナポレオン派の下等官僚で、ナポレオン派の没落時にはくだらない雑誌に文章を売ってしのいだ。貧乏だけれど贅沢もやめられない、といったところか。本名はアンリ・ベール。スタンダールというペンネームはドイツの小都市からとられた。墓標には「ミラネーゼ」と書かせたという。

この夏僕は海にスタンダールの「ローマ散策」を持って行った。ミラノのある古本屋で5ユーロで買った非常に分厚い本で、友人たちにはあまりに重いので笑われた。

彼はローマをかけずり回り、その美を全身に浴びて、1冊の本に仕上げた。とっても素直にローマが好きらしい。何かが僕のしゃくに障るのだ。言ってしまおうか、彼の「ディレッタンティスム」が僕の嘔吐を誘うのだ。フランス嫌いを公言し、ペンネームはインテリ気取りのドイツ名、ヴァカンスはいつもイタリア、墓標にはミラネーゼ。

ある女性に恋をして、ふられて立ち去るときに一言、「歓喜に酔い、希望に溢れて辞去」。

ああ、まるで自分を見るようで全くもって不愉快である!・・・。

Leave a Reply

Your email address will not be published.

You may use these HTML tags and attributes: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>