パヴェーゼ Cesare Pavese

ミラノに来るまで僕はイタリア人の本はダンテ、ボッカッチョ、マキァヴェッリとペトラルカしか読んだことがありませんでしたが、この国にも勿論たくさんの重要な文章家がいます。

今回は日本では僕の知らなかった作家の一人で、チェーザレ・パヴェーゼを紹介します。

1908年ピエモンテ州の田舎に生まれ、トリノに学び、文筆業とともに出版社エイナウディの主幹を勤め、戦時中はレジスタンス運動とも近く、戦後は政治的発言(勿論左です)も多かったけれど、恋愛に悩み、人生に悩み、生きることに疲れて1950年に自殺してしまいました。その辺の心境は晩年の日記「Il mestiere di vivere(生きるという仕事)」に詳しい。自殺したことと(自殺した小説家なんて掃いて捨てるほどいるけれど)、詩人でありたくて詩を書き続けた小説家という点は少し芥川とかぶります。

代表作はおそらくストレーガ賞を受けた3部作「La bella estate(美しい夏)」と最後の作品『La luna e i faló(月とかがり火)」だと思われます。僕は一人の作家が気に入ると少しまとめて読みたくなるので、「Il compagno(仲間)」、「La spiaggia(浜辺)」なども読みましたが、なかなか良かった。なんて僕が言う意味のないような古典だけれど。実感のこもった文体というか、暑さが肌で感じられて寒さが骨身に染みて、森や芝生の匂いがして、楽しい気持ちが溢れ出て、懐かしさや悲しさが込み上がって来るような、太宰の言う「ご馳走」的な魅力にあふれた文章を書く人だと思います。

岩波文庫で「Paesi tuoi(故郷)」、全集が晶文社から、その他白水社や筑摩書房からも出ているようなので(ということは僕が知らなかっただけで日本でも既に有名で、こんな文章を書いて無知をさらしているようだけれど…)、ぜひ読んでみて下さい。

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