1889年のパリ万博

万博というものについて私はほとんど何も知らない。知っていたことはドビュッシーが1889年のパリ万博ガムランの演奏を聴いて感銘を受け、版画の1曲目『』に代表されるような作品を残したこと。

ドビュッシーは1889年にパリで行われた万国博覧会でさまざまな影響を得たのですが、その中でもジャワのガムラン音楽に衝撃を受けました。東洋の異国情緒に惹かれた結果、ドビュッシーはほぼ15年ほどの歳月をかけて、このような東洋の音楽や風景などを、物まねではなく、独自の表現で表すことに成功しました。(「版画」より第1曲「塔」金子一朗

リヒテルのドビュッシーは楽譜が丁寧に読まれているというのか、同時に進行するモチーフの距離感の違いや、リズムの面白さが際立っていて、とても立体感のある演奏だと思います。ワーグナーが大好きなバレンボイムとの対比の面白いファンタジーを下に。(ドビュッシーとガムランをググると「ドビュッシーの1890年前後の作品におけるガムラン・モチーフの扱いについて」というのが一番上に出て来ましたがここではモチーフについて語られるなかでこの曲も取り上げられています。)

脱線しましたが、、1889年のパリ万博では一般的にはなんと言ってもエッフェル塔が建てられたのが最も大きな話題だと思います。
エッフェル塔のように(とまではいかなくても)後々まで残る価値のあるものが今回のミラノ万博でも建てられるのか、興味津々です。

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2014年秋の日本公演

ピアノリサイタル「悲壮美そして情熱の調べ」
11/27(木)19:00開演 大阪 ザ・フェニックスホール
12/5(金)19:00開演 東京 サントリーホールブルーローズ
詳細はコンサートページをご覧下さい。

12/7(日)15:00開演 大垣市 大垣市スイトピアセンター音楽堂

宮松重紀指揮大垣市室内管弦楽団とブラームスのビアノ協奏曲第2番を演奏します。全自由席1000円です!
お問い合わせ:kammer-or-ogaki@gol.com

ドビュッシー ロマンス

「私の好きな曲」第2弾。フランス歌曲ついでにもう一曲。
ドビュッシーの2曲あるロマンスの1曲目。
これも先のショーソンの歌曲と同じくあまり重要な曲ではなく、よく書かれた曲でもないのかもしれないけれど、私の思うように演奏されたら私は好きな曲だと言えると思う。Youtubeには思っているような感じの演奏は見当たらない。マギー・テイトがジェラール・ムーアと歌っている録音のCDを持っている筈だが半年前に引っ越した時に段ボール箱に詰めたまままだ開けていないので持っていないのと同じこと。聴き直してみないと分らないけれどもマギー・テイトの声はいかにもその時代の感じで本当に好きかと言われると頷き難い。この演奏も全然好きではないが参考までに。

ヴァイオリンなど他の楽器で弾かれたり伴奏がオーケストラのものなどもあるようだが、曲の味わいから遠すぎると思う。

以下このサイトからの転載

ロマンス (詩:ポール・ブルジェ)
移り気で 悩める魂
やさしい魂 かぐわしい魂
神聖なユリの香りがする魂 それは私が摘み取ったのだ
あなたの心の庭から
一体風はどこへ運ぼうというのだろう
このユリの花の すばらしい魂を?

もうそんな香りさえ残っていないというのか
天上の喜びの中には
あなたが私を包んでくれたあの日々の喜びを
自然を超えたこの靄によって
希望と 誠実な愛と
至福と 平和で作られたこの靄によって?

Romance
L’âme évaporée et souffrante,
L’âme douce,l’âme odorante
Des lis divins que j’ai cueillis
Dans le jardin de ta pensée,
Où donc les vents l’ont-ils chassée,
Cette âme adorable des lis?

N’est-il plus un parfum qui reste
De la suavité céleste
Des jours ou tu m’enveloppais
D’une vapeur surnaturelle,
Faite d’espoir,d’amour fidèle,
De béatitude et de paix?

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2014年秋の日本公演

ピアノリサイタル「悲壮美そして情熱の調べ」
11/27(木)19:00開演 大阪 ザ・フェニックスホール
12/5(金)19:00開演 東京 サントリーホールブルーローズ
詳細はコンサートページをご覧下さい。

12/7(日)15:00開演 大垣市 大垣市スイトピアセンター音楽堂

宮松重紀指揮大垣市室内管弦楽団とブラームスのビアノ協奏曲第2番を演奏します。全自由席1000円です!
お問い合わせ:kammer-or-ogaki@gol.com

リーメンミュージックのWEBTV(ウェブティービー:インターネットテレビ)

このホームページのトップページに「リーメンミュージックのWEB TVで吉川隆弘のリサイタルが公開されています!」という文章があり、WEBTVという言葉が日本でどのように認識されているかよく分らなかったのでwikipediaで見てみると、「WebTV(ウェブティービー)はマイクロソフトとウェブティービーネットワークス社によって開発された家庭用テレビ受像機に接続して使用するインターネット専用端末である。」とあります(WebTv)。これは「リーメンミュージックのWEB TV」とは関係ありません。インターネットテレビという項目に「インターネットを通じて、主として映像で番組を配信する、インターネットのコンテンツの一形態。」というのがあり、「リーメンミュージックのWEB TV」はこれに該当します。

トップページの各プログラムの題名にリンク(黄色い字)がありますが、ここをクリックしただけでは1曲目しか見られません。その他の曲も見ようと思ったらwww.limenmusic.comに行って、赤字のSKIP INTROをクリックして、「subscribe now for free! SIGN IN」と書いてある枠内をクリックし、「SUBSCRIBE NOW FOR FREE」をクリック、NICK NAME(ニックネーム)とPASSWORD(パスワード)をローマ字で記入してEMAILを記入、TERMS OF USEをクリックして規約を読んだら(読みましたということにして)I HAVE READ AND AGREE TO THE TERMS OF USEの左横の四角をクリックし、ENTERをクリック、次のページで入力したことを確認したらCONFIRMをクリックしてください。すると入力したメールアドレス宛にaccount@limenmusic.comからメールが届きます。メールにあるリンクをクリックするとニックネームとパスワードが有効になるので、ENTERをクリックしてwww.limenmusic.comに戻り、もう一度「subscribe now for free! SIGN IN」と書いてある枠内をクリックして有効になったニックネームとパスワードを入力したら全部見られます。見る前に毎回一つ誰かのアカウントを選び、自分が接続している間選んだ相手にポイントがたまり、そのポイントで将来なにか特典があるということですが、そのあたりはあまりに複雑なので誰か知り合いのアカウントがあるならそれを選んでも良いし、テキトーに選んでもいいと思います。

そんなに複雑な作業ではない筈ですがいちいち書くのは非常に手間でした。このホームページを見て下さる方全員がトップページにある演奏を見るために忙しい中この作業をしてくださるとも思えないので、ここで、内緒ですが、いちいちサインインしなくても全曲が見られるダイレクトリンクを大発表します!(内緒でもなんでもなく、一度ニックネームが有効になってサイトに入ると自分でプレイリストを作ることが出来、プレイリストはサインインしなくても誰でも見られるのです。)

ハイドン
ソナタ ヘ長調 Hob.XVI:23、ソナタ ト短調 Hob.XVI:44

ショパン
英雄ポロネーズ、ワルツ第3番イ短調、ワルツ第6番「子犬のワルツ」、ワルツ第7番、ワルツ第8番、幻想ポロネーズ(トレイラー

リスト
泉のほとりで、超絶技巧練習曲第4番「マゼッパ」、愛の夢第3番、婚礼、物思いに沈む人、ペトラルカのソネット第104番

リストとワーグナー
リスト:ダンテを読んでーソナタ風幻想曲(トレイラー)、エステ荘の糸杉にI:哀歌、エステ荘の糸杉にII:哀歌、エステ荘の噴水、ワーグナー:エレジー変イ長調

ストラヴィンスキー、ラヴェル、ドビュッシー
ストラヴィンスキー:ペトルーシュカから3つの断章(トレイラー
ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ、水の戯れ
ドビュッシー:水の反映

恒例のコンサートのお知らせです。
11月10日に兵庫県西宮芸術文化センター神戸女学院小ホールにてリサイタルをします。
日 時 2011年11月10日(木)
開 演 19:00  (開 場 18:30)
会 場 芸術文化センター 神戸女学院小ホール
料 金 自由席(一般)3,500円/(吉川隆弘後援会会員)3,000円
お問い合わせ:Ampio(吉川隆弘後援会)TEL 0798-73-3295
program:
ベートーヴェン:ピアノソナタ第7番ニ長調 Op.10-3
プロコフィエフ:ピアノソナタ第6番イ長調 Op.82
ドビュッシー:映像第2集
ショパン:ノクターン第1番、マズルカ第41番、スケルツォ第2番

WEB TV!

この夏収録したヴィデオが、リーメンのWEB TVで公開されました!www.limenmusic.comです。

Channel1で1日に何度も放映されています。TV ondemandのclassicalでは1曲ずつのヴィデオがいつでも見られます。

プログラムは以下の通りです。
ハイドン:ソナタ ヘ長調 Hob.XVI:23
ハイドン:ソナタ ト短調  Hob.XVI:44
ラヴェル:水の戯れ
ドビュッシー:水の反映
リスト:泉のほとりで S.160-4
リスト:超絶技巧練習曲第4番「マゼッパ」
リスト:愛の夢第3番
ショパン:英雄ポロネーズ
ショパン:ワルツ第3番イ短調

ハイドンの2つのソナタは特に有名なものではありませんがどちらも非常に美しい曲です。

ヘ長調のソナタは3楽章から成っています。第1楽章にはテンポ表示がありませんが、アレグレットと書かれていることもあるようです。32分音符のパッセージが多くテンポが落ち着いていても速く聞こえます。典型的なソナタ形式で、提示部は華やかで明るい性格に支配されていますが、後半では少し翳りも垣間見られます。展開部の後半では短調の劇的な盛り上がりが聞かれます。再現部の左手の長いトリルも聞き所でしょうか。第2楽章アダージョはヘ短調、いわゆるシチリアーノのリズムが用いられています。同じ調性で書かれたモーツァルトのK.280のソナタの第2楽章の先駆となった作品なのでしょうか。同じくモーツァルトのK.488のピアノ協奏曲の第2楽章もシチリアーノですね。この楽章はこのソナタの白眉であります。微妙な情緒の移りが美しく、深い悲しみ、ふと楽しかった過去を、美しい思い出を懐かしむ、そして絶望、やがて諦念といったところ。第3楽章はプレスト、打って変わって楽しい気分。前楽章の悲しい気分を打ち消してフォルテで始まるのではなくて、むしろ悲しみの中から喜びが聞こえてくるとでもいいますか、静かに始めてみました。単一主題のソナタ形式ともとれる形式を持っています。

このソナタでは一切繰り返しをしませんでした。楽譜には繰り返し記号があらゆるところに付けられていて、全曲が2回演奏されるようになっています。いわゆる古典派の作曲家は、その前の時代の風習に習ってか、よく繰り返し記号を用いましたが、特別な場合を除いて繰り返すかどうかは任意でいいと思います。したければすればよいし、繰り返しをしなくても充分で、冗長になる恐れがある場合はしなくてもいいと思います。同じ曲でも、将来いろいろな創意工夫を凝らしてみたり、たとえばやっぱり美しいから、という単純な理由でも繰り返しをする、ということはもちろんありえます。2つの楽章から出来ているト短調のソナタの第1楽章は前半も後半も繰り返しをする時用の小節が書かれており、調性の移り変わりにも興味深いものがあり、反復時の装飾などもこしらえてみたので前半は繰り返しました。ソナタ形式の後半(展開部と再現部)の繰り返しはモーツァルトにもよく見られますが、どうもぼくの感覚では、提示されたものの記憶がより定着されるために再現部の反復は理解できても、その展開と再現を反復するというのは謎解きの過程と犯人発見をもう一度説明されるようで、よほどの場合でないと、やっぱり少し饒舌に感じてしまいます。第2楽章は冒頭の短調の部分に繰り返しの指示がありますが、これはその後、長調を経て再び短調に戻った時に装飾が加えられて2度繰り返されており、形式的に不可欠な反復です。

ヘ長調のソナタが楽しくも悲しくもともかく外向的な装いを持っていたのに対して、ト短調のソナタは内省的だといえるでしょう。第1楽章では多用される歌の重なりが美しく、転げ落ちるような音形を持つ第2主題も独特です。ハイドン得意の意外な休符の用法が展開部と再現部で聞かれます。特に後者は減七の長く引き伸ばされた和音の上で歌われる嘆きとの対比が強い印象を残します。第2楽章はメヌエットでしょうか、執拗な女性終止とヘミオラが印象的です。前述したように短調と長調が交錯していますが長調のときもあまり楽しくはないようです。

ハイドンに続いて水をテーマにした3つの曲が続きます。ここでは時代の順序を逆にラヴェル→ドビュッシー→リストと並べてみました。

「水の戯れ」と「水の反映」は日本語名はよく似ているけれど、「戯れ」のほうは外から見た水の様子が描かれ、「反映」は原題「水の中の反映 Reflets dans l’eau」からも分かるように水中の様子が描かれています。これら2曲はピアノによる印象派的表現の代表的な作品ですが、その源泉はリストに聞かれ、ここで取り上げた「泉のほとりで」のほかにも「エステ荘の噴水」をはじめいくつかの作品が残されています。「泉のほとりで」は巡礼の年第一年スイスの第4曲です。シラーの詩の一節「さざめく冷たさの中で、若々しい自然の戯れが始まる」が冒頭に掲げられています。この一節、前半には「の中」が、後半には「戯れ」が見られるのは暗示的ですね。

リスト繋がりで超絶技巧練習曲から第4番「マゼッパ」を弾きました。マゼッパとは実在したウクライナのコサックの英雄でイヴァン・マゼーパと呼ばれています。コサックというとぼくは以前にも少しフロムミランで触れたプーシュキンの「大尉の娘」を思い出しますが、こちらはバイロンも詩に取り上げた悲劇の英雄です。リストはヴィクトル・ユゴーの詩をもとに作曲しました。序奏に続いて主題と5つの変奏、そしてコーダです。最後の変奏が激しく断ち切られるように終った後、息も絶え絶えのフレーズに続き、豪壮なコーダで幕を閉じますが、この辺りは最後に引用されているユーゴーの一節<il tombe, et se relève roi!>(彼は落ち、そして王として昇る)が音楽で表現されています。

ここからはアンコールのように有名な曲を3曲。もう、説明は要りませんね。

それではお楽しみ下さい!